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小児歯科矯正と成人歯科矯正の違い

小児歯科矯正と成人歯科矯正の違いは、成長を加味した予測の矯正か、それともこれ以上成長しない、結果に対しての矯正。と言うことになります。

矯正は大きく分けて、第一期治療と第二期治療に分かれます。この分類で言うと、第一期治療が小児矯正の部分になり、第二期治療が成人矯正の部分になります。(正確には少し違いますが)

中には第一期治療は床型矯正治療として、針金のツブツブを付けるのを第二期治療と分類するケースもあります。

東洋的な治療形式に近い第一期治療。西洋様式のツブツブを使った、マルチブラケット法を用いた第二期治療がそれにあたります。

目次

小児歯科矯正(小児矯正)

体は日々成長を続けていきます、特にお子さんの場合は、骨の成長も著しく成長していきます。身長の記録を家の柱に記録した人も世代によってはいるのではないでしょうか?

特に成長期のお子さんの変化はめまぐるしい物があります。

そのため、小児歯科における矯正は顎の成長に合わせて歯並びを治していく物で、歯並びを馬蹄形状(Uの字状)のモデルのような歯並びを目的とする物ではありません。

これがよく使われる、個性正常咬合といわれるものです。一方、成人矯正のような馬蹄形のUの字を目的とした、モデルのような歯並びは理想咬合と言われます。

子どもの場合は、成長が入ってくるので、成長に合わせて誘導していきます。なので、別名、咬合誘導とも呼ばれており、始めに述べている一般歯科矯正の第一期治療とは別物と捉える先生もいます。

小児歯科の先生は、別物とちらえる表現を使うケースが多いのに対して、矯正歯科の先生は、第一期治療と位置づける先生が多いです。

小児歯科矯正は当然成長が関わってくるので、生活習慣も大きな要因となります。そのため、悪習壁などの悪い癖は、歯並びの結果を大きく作用します。

逆に矯正歯科の治療は、成人が主な対象なので、顎の成長も大きく変化しませんので、装置に装着に問題がある場合を除き、悪習壁は最後になります。

小児矯正において、悪習壁を治すだけで、装置を入れなくても歯並びが改善してしまうこともあるので、悪習壁の考え方が、治療より先に来るケースもあります。

例えば、うつぶせ寝や、横向き寝、舌壁、頬杖、食事中の姿勢などがあげられます。

横向き寝、うつぶせ寝をしている場合は、上と下の歯の真ん中が、ずれてきます。食事中にTVを見たり、話したりするのに、横を向きながら食べると左右の歯に加わる力のバランスが崩れます。

例えば、右に向いて噛んでみてください。右と左で噛み方が違うのが分かると思います。そのような噛み方をしている人の特徴として、リラックスして仰向けに横たわると、強く噛んでいる側に片方あるいは、両方の足のつま先が、傾いていきます。

体の軸がずれ始めているのです。

つい最近の研究では、1歳までに歯並びの80%が決定して、6歳で残りの20%すなわち合計100%が決定すると言われています。

それ以降に行う9歳位からの矯正は、頭の形や成長を無視して、歯のみを並べる矯正と言われていて、そのために、矯正が終わってから後戻りが大きいとされています。

つまり、地盤と建物が不釣り合いの状態ですから、地盤沈下を起こすのは当然です。

そのような観点から、小児矯正は、その子の骨格にあった歯並びを作ることが目的で、きれいな馬蹄形のUの字型の歯並びを作ることが目的ではありません。

本音としては、悪習壁などを先に治したいのですが、治療の目的で来院される方は、歯を馬蹄形のUの字にする事を目的として来院されます。

そのため、小児矯正の延長上に第一期治療、第二期治療が合流してしまい、小児矯正の延長が成人歯科矯正の一部と考えられてしまうのです。

本来の意味での小児矯正は成長を正しい方向に誘導してあげることが目的ですから、基本的に床型やマウスピース型になることが多いです。

例えば、プレオルソとかムーシールドなどが有名です。

これらの装置は、一般的に4歳前後(装着できるなら3歳でもOK)から初めて行きます。

例えば前支部反対咬合。下の前歯が、上の前歯より前に出ている、ケースで考えていくと、かみ合わせの逆の子は顎の運動が回転運動にならず、上下に顎が動きます。アニメの骸骨の顎を動かすような感じに、動かします。

反対咬合を幼稚園の時期に治しておくと小学3年生では回転運動に変化することが分かっていますが、一般的に矯正を始める9歳くらいで始めた場合はそうはならないという報告が出てきています。

そのため、形だけを治せば良いのか、機能まで考えていくかという問題でも差が出てきます。(近頃このような考え方が出てきたため、矯正歯科の先生も低年齢で初めて行くケースが増えています。)

考え方としては、機能とバランスを整えていけば、結局歯並びが治っていくという考え方で、その段階で歯並びが悪ければ矯正歯科を受診すれば良いのでは?という考えから来ています。

なので、歯並びを治すという意味での分析方法は、矯正歯科ほど厳密でなく、大まかな推測的な方法で行うことが多いいです。

成人歯科矯正(歯科矯正)

基本的な考え方は、顎が成長しないと言うことを前提しています。

そのため、綿密な分析を元に骨格の分析をして、治療をしていきます。そのため、ほぼ確実的に歯並びを治すと言う意味では、成人矯正のメリットです。

しかし、近年は日常生活の状態によっては、顎の成長が30歳を超えても成長してくることが分かってきており、歯並びの治し方も、昔言っていた理想咬合を目的とするのでなく、個性正常咬合を目的としているケースが増えています。

この顎が30歳以降も成長するケースがハイアングル顔貌と言われるのがこのケースになります。鼻の下から、顎の先が長いケースです。

このような人は歯並びを治して10年間きれいな歯並びで入れる確率は10%未満とされています。

そのため、今の成人歯科矯正の先生は、成人から始めるのではなく、小児矯正からはじめる先生も増えているのも事実です。

しかし考え方が、小児歯科の先生と矯正歯科の先生では異なります。

小児歯科では、機能を治してあげて、結果として形が治るという考え方ですが、矯正歯科の先生の考えは、形を治さないと機能は治らないという考え方です。

すなわち、卵が先か、鶏が先かの議論と同じなわけです。

当然細かい処置にも差が現れます。

例えば乳歯の奥歯が、虫歯になり、抜けてしまった場合、6歳臼歯が前に移動して、歯並びが悪くなるのを防ぐために、保隙といって、6歳臼歯が前に移動しないようにストッパーを入れて隙間を確保しようとします。

一方、多くの矯正歯科の先生は、保隙を入れる先生は少ないです。永久歯を抜歯して、計画的に治して行くという考え方です。

どちらが良いとはいえませんが、診療方針にも微妙なずれが出ます。

逆に小児歯科の先生が弱いところは、予測による成長がメインとなります。そこが、小児矯正と成人歯科矯正の違いになります。

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この記事を書いた人

歯科大学卒業後、小児歯科を専攻として大学院を卒業し博士(歯学)号を取得。大学の小児歯科教室で教員を務めた後、地元で小児歯科を専門として開業しつつ、大学の非常勤講師(小児歯科)に任命中。小児歯科学会の認定医、専門医試験に合格して現在は専門医の資格を所有。小児歯科を専門とした歯科医師です。

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